本論文は、哺乳動物の細胞で見られ、細胞内外へのシグナル伝達を通じて、生体維持に欠かせない役割を果たしている “プレセニリン関連タンパク質複合体” についての研究報告です。
牧内講師は、プレセニリン相同タンパク質が、単細胞真核生物である赤痢アメーバ (Entamoeba histolytica) にも認められることを発見し、その解析を進めています。今回の報告では、赤痢アメーバのプレセニリンが、同じく膜貫通タンパクであるニカストリンと共にプロテアーゼ活性を有した複合体 (γ-secretase) を形成していることを発見しました。また、プレセニリンとニカストリンの複合体の構造解明にも迫っています。
この論文は、細胞膜上に γ-secretase が存在することを寄生原虫類において初めて証明しており、ヒトを含む哺乳動物の進化や生理現象を検証する上で、画期的な発見です。
牧内講師は、現在、赤痢アメーバγ-secretaseの全容解明を目指すとともに、γ-secretase が関与するシグナル伝達系を明らかにするための解析を継続しています。単細胞真核生物の研究により生物の進化過程や普遍的な生理現象を明らかにする研究ですね。
我々の研究室では、牧内講師を中心に、東京大学の野﨑智義教授との共同開発を通じて、真核生物がどのように細胞機能を維持しているのか、生命維持の根幹に関わる研究を、行っています。
興味のある方は、是非、お気軽にお問い合わせください。
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